◆ 神奈川県リハビリテーション支援センターの福祉用具評価モニター商品に採用されてからはいかがでしたか?
初版本は私の思い込みだけで制作したので、実際の現場や専門家の方々からの評価はさんざんでした。(苦笑)その後、現場を見たり聞いたりすることで問題点や改善点がたくさん見えてきました。自分の勉強不足もよくわかりました。基礎知識を得るため福祉用具専門相談員の資格も取得しました。とにかく現場の声や実態を見てまわりました。失語症分野で有名なST(言語聴覚士)の遠藤先生に何度もお願いして東京のことばの教室へも訪問し、実際に失語症の方たちのリハビリ教室のお手伝いをさせて頂きました。
その後、改訂版の構想はあるものの資金不足で形にならない時期がありました。そんな時に、山形県経営革新補助事業に採択され、モニタリングの結果をもとに改訂版を制作することができました。その事業で、首都圏を中心に展示会などで紹介を始めるようになりました。また地元のNPO夢創工房さんも多大な協力をして頂きました。
東京久我山にある失語症の方が通う作業所の パソコン工房ゆずりはさんで販売活動を手伝って頂くなど地道に販売活動を行なっています。パソコン工房ゆずりは失語症者の作業所として失語症、片麻痺などの障害を負った人々を受け入れ毎日通える場所です。初版本も養護学校関係の方が購入してくださいました。利用者は大人が多いと思っていましたが発達障害児関係の方がよく購入してくださることもあり、現在、発達障害や自閉症のお子さんを中心に 神奈川県リハビリテーション支援センターのご協力で2回目のモニタリングを行なっています。それにより新しいバージョンも制作予定です。
展示会や関係各所をまわる度にいろいろなネットワークができ、協力してくださる方が少しずつ増えてきています。神奈川県リハビリテーション支援センターさんでのモニタリング事業が私の出発点だと思います。
◆ 感動したお話があればお願いします。
私は、いつも一人で東京や神奈川を中心にいろいろなところへ行きます。自由気ままに仕事をしているようですが、何かあっても“褒められもせず、叱られもせず・・・” 実はいつも孤独でした。昨年、ビッグサイトで中小企業展にはじめて出展した時でした。東京なんて知っている人なんかくるわけがないと思っていたのですが、作業所「ゆずりは」の皆さんがわざわざ有明まで来て私のブースを訪ねてくださいました。もう感激で涙がでました。今でも東京へ行った際は、自分の親戚のように気軽に訪ねて仕事の相談や愚痴を聞いてもらっています。(笑)独りじゃないんだ、みんながいると思うと力が湧いてきます。
◆大好きな言葉または座右の銘は?
「晴耕雨読」です。
私は両親とも山形県米沢市の生まれですから純粋な田舎者です!山形はまだまだ手つかずの自然がたくさんあります。米沢でもまだ観光地化していないところが大好きです。それと冬はとんでもなく雪が降りますからね。冬は雪との戦いです。その分、春が待ち遠しいし、ありがたいです。夏の暑さはとても大事です。そのおかげで秋にはうれしい収穫があるのですから。最近都会の人が田舎に憧れを持ったりしていますが、自然は決してお洒落ではありません。そこに住んでいる人はとても大変なのです。私なんか時々、都会が便利でうらやましくなります。でも、新幹線で田舎へ帰る時、ある場所から急に空気が変わるのです。澄んだ緑の空気に!その瞬間に、「あ〜!やっぱり都会では暮らせないなぁ。」と思ってしまいます。(笑)
そんな自然に囲まれたところで生活していると、老後はのんびりと晴れた日には田畑を耕し、雨の日には家にこもって本を読んだり絵を描いたりして、悠々自適の生活をしたいなぁ・・・なんて思います。
でも、仕事で挑戦をするなら絶対、都会ですけどね。(笑)
◆これからの夢は?
コミュニケーションという分野は心の通ったアナログな世界と考えます。子育てを機械でするお母さんはいないですよね。同じように会話も本来は人と人とのやり取りのはず。もう一度、会話の原点に戻ってほしいと思います。また、「コミュニケーション絵本」についてはまだまだご存知のない方が多いのですが、都心を中心に協力をしてくださる方や興味を持って下さる方が地道に増えてきています。遠くは沖縄や九州から注文や問合せを頂くこともあります。さまざまな出会いの中で私の思いが、点が線に繋がってきています。線が放射状に広がって、大きな面となるように努力していきたいと思っています。
同じように会話障害で悩んでいる方は世界中にたくさんいらっしゃいます。今後のバリアフリー社会には絶対不可欠な商品だと思います。世界中で使えるものを作りたいですね。
この「コミュニケーション絵本」で世界中の人たちが自分の意思を伝えることができるようになったらなんて思うと、なんだか嬉しくなってしまいます。(笑顔)
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